防虫剤・防虫法:カメムシ

無農薬栽培で最も注力するのは防虫(害虫防除)である。カメムシは、千葉県印西市にもたくさん生息し、野菜などを食害する害虫である。 大豆(枝豆)、ゴマ、オクラ、ピーマン、トマト、ナス、ゴーヤなどが被害を受ける。

夏から秋にかけて被害が多発するカメムシの生態や防除方法について記す。

1.カメムシの種類

日本には800種以上のカメムシが棲息していると言われている。印西市で棲息する主なカメムシは、「アオクサカメムシ」、「ホソヘリカメムシ」、「イチモンジカメムシ」、「ホウズキカメムシ」などである。

アオクサカメムシは日本全土に分布している代表的なカメムシ。成虫の全身は緑色、体長1.2~1.6cmで細長く、扁平な6角形状をしている。年3回発生し大豆、オクラ、ゴマなどを食害する。

(オクラやゴマを食害するアオクサカメムシ)

ホソヘリカメムシ(成虫)は褐色で体長1.5cm位、細長く、脚が長くスマートなカメムシである。飛ぶとアシナガバチに似ている。エンドウ、インゲン、大豆などマメ科植物を食害する。

イチモンジカメムシ(成虫)は全身が淡黄緑色をしている。体長1cm位で頭のすぐ後ろに白色または赤色の横帯がある。年数回発生し、大豆などのマメ科植物を食害する。

ホウズキカメムシは濃茶色で、腹部側面に縞模様がある。体表面に細かい短毛が生えている。ホウズキやトマト、ナス、ピーマンの幹に集まり栄養分を吸汁する。栄養不足となり木が枯れることもある。

(シシトウの枝に生息しているホウズキカメムシ)

2.生態

カメムシは多食性昆虫で、主に4月から10月にかけて活動する。成虫は初夏から植物の葉などに円筒形の卵を塊で産み着ける。

卵から孵化する幼虫の体形や模様は成虫と異なり、成長にともなって変化する。幼虫は成虫と同じ形だが、模様が異なる。蛹にならずに羽化する。

7月から9月にかけて新しい成虫が1回から数回発生し、多くの種類が成虫で冬を越す。カメムシは全て成虫で越冬する。

日当たりのよい草むらや落葉の間などで越冬するが、アオクサカメムシは常緑植物の葉の間や茂みの中などで越を越す。

3.カメムシの食害

被害の大きいものは大豆(枝豆)、ゴマ、オクラ、ピーマン、トマトである。カメムシの成虫や幼虫が口を植物に刺し込み吸汁する。

その結果、

・果実を吸汁されると奇形果や落果、腐りが発生する。

・新芽を吸汁されると茎が曲がったり、新葉が変形したり破れたりする。 ・莢を吸汁されると実の生育が悪くなり、実が入らなくなる。

(1)大豆・枝豆

開花から着莢期間に吸汁されると、莢の生長が悪くなり実が入らなくなる。豆の肥大期間に吸汁されると、不規則にゆがんだ豆や一部が褐色に変色した豆ができる。

吸汁された枝豆はたべても美味しくない。開花・着莢から豆の肥大期間の防除が重要となる。防虫ネットのトンネル栽培を検討中。

(2)ゴマ

ゴマの着莢から収穫期に葉や莢(実)を食害する。莢を吸汁すると中身の入っていない実となる(水に浮いてしまう)。最も厄介なのは糞である。

水洗・乾燥・分級後のゴマの中に約0.5mmの黒い糞が残ってしまう。糞の分離が厄介な作業となっている。防虫ネットのトンネル栽培を行なっている。

(3)オクラ

カメムシはオクラの実を吸汁する。吸汁されると ①U字状に曲がる曲がり果、  ➁表面がイボイボ状のイボ果となる。味は変わらないが商品価値が無くなる。

(4)トマト・ピーマン、ナス

ホウズキカメムシが露地栽培のピーマン、トマト、ナスの幹に集まり栄養分を吸汁する。栄養不足となり木が枯れることもある。

トマトの葉を加害するが、葉の場合の被害は少ない。熟したものよりも、未熟な青い果実が食害されることが多い。吸汁痕は初期には目立たないが、次第に汚黒色に変わり、腐敗する、あるいは早熟して着色する。

4.防除方法

防虫剤の効果は少なく、完全を期するには防虫ネットで囲うしかない。現状の対策を以下に記す。

①防虫ネットで囲う

雨よけハウスのトマト、金ゴマ、枝豆で実施している。被害はほとんどない。

➁防虫剤散布と補殺 対象作物:大豆・枝豆、オクラ、露地栽培トマト、ピーマン、ナス
防虫剤(ニンニク。唐辛子・木酢液)の効果は認められるが、その効果は短い(数時間~半日程度)。

見つけ次第手で補殺しているが、一網打尽には程遠い。 補殺は素手で行う。カメムシは悪臭を放ち、悪臭が指に付く。補殺後手や指を洗剤をつけて洗浄する。

ピーマンに集まるたくさんのホウズキカメムシは、ボールに水を張りホウズキカメムシが集まっているピーマンの下に持って行き枝を揺する。

たくさんのホウズキカメムシがボールに落ちるのでそのまま2~3時間放置するとホウズキカメムシは死滅する(水攻め作戦)。

③大豆・枝豆

枝豆は以下の対策を行なっている。

・播種時期を出来るだけ早くしている(3月中旬播種、換気フィルムトンネル栽培)。

・途中から防虫ネットのトンネル栽培(5月上旬~6月下旬の収穫)。

④隣の休耕畑  冬の間成虫がひそむ休耕畑の雑草や落ち葉などを清掃をしている(2017年8月4日改正)。

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