家庭菜園ではナメクジの被害も結構多いのではないでしょうか。ナメクジはキャベツや白菜、ナス、ピーマンなどを食害する。
野菜の他、サルビアやマリーゴールド、ペチュニアなども食べる。ナス科、シソ科、アブラナ科、セリ科、キク科などの被害が多いようである。
防虫ネットでアオムシは防除できても、ナメクジの食害に悩まされることが多い。特に春から秋に栽培するキャベツにはたくさんつく。
キャベツや白菜の中に入り込んだナメクジを見つけると、農薬漬けの野菜しか知らない人はびっくりしてしまい廃棄する人も居る。
ナメクジを知っている人でも、独特のヌルヌルした野菜を洗浄して食べるのは気が引けるものである。出来たら防除したいものである。
1.生態
ナメクジは陸に上がった巻貝の仲間である。フタスジナメクジやチャコウラナメクジ、ノハラナメクジ、ヤマナメクジ、ウスカワマイマイなどがいる。
ナメクジは、昼間は落葉や石の下などに潜み、夜に活動する「夜行性生物」である。また、乾いた土壌よりも湿った土壌、且つ酸性土壌を好む性質がある。
またナメクジは、生きた植物よりも腐敗した植物や動物(生物遺体)を好む。生物遺体から発生するアルデヒドやアルコールの臭いに惹かれてやって来ると言われている。
ナメクジが発生する条件は多湿で長雨が続く時期、露が発生する時期(3月~11月)。またナメクジは乾燥と高温には弱いので、日中の気温が高い時間帯は動きが鈍る。
2.防除対策
ナメクジの生態的特徴から防除策を考えると
①湿気の多い土壌を好むので、日当りの良い畑を選定し乾燥状態に保つ。
②潜行場所となる石、切り株などを取り除く。
③餌となる野菜残渣や雑草などを畑から取り除く。
④酸性土壌を好むので石灰で中性にする。 などが挙げられる。
3.防除法
具体的なナメクジの防除法として、次のような方法がある。今後試行錯誤で効果を確認して行く予定である。
(1)日当たりの良い畑を選び、乾燥状態を保持する。
①畝に籾殻を敷きその上にマルチフィルムを掛ける。または植え穴に籾殻を敷く。
②不織布や防虫ネットなどのトンネルを時々外し換気する。
③キャベツや白菜の株元に出来る枯れ葉は取り除く。
<テスト結果>
①、③を夏播きキャベツでテストした結果、かなりの成果があった。但しキャベツは倒れやすく倒れた葉に棲みついてしまう。一度ナメクジがキャベツに入り込むと駆除は難しい。
(2)ビールによる捕殺
ナメクジはビールを好んで飲み、アルコールで酔って死ぬ。余ったビールを樹脂トレイに置いておくだけで防除できる。
<テスト結果>
キャベツの畝に残りビールを広口瓶に入れて置いて見たが効果は無かった。
(3)農薬による防除
ナメキール(メタアルデヒド粒剤)、マイキラー(メタアルデヒド水和剤)、ラービンベイト2(カーバメイト系粒剤)、ICボルドー(有機銅水和剤)を用いて防除する。
<テスト結果>
無農薬栽培なのでテストはしていない。
(4)銅板や銅線を配置する
ナメクジは銅イオンに対してきわめて強い忌避性を示す。銅板や銅線を野菜の株元に置くとナメクジが寄り付かなくなる。10円銅貨などを置くのも有効とされる。
<テスト結果>
キャベツを畝に植えつける時に銅線(コードリールのビニールを剥がしたもの)を野菜の株元に巻きつけるテストは2~3年行なった。
はっきりした効果は認められなかった。銅線を巻きつける本数を多くするとどうなるかの検証が必要。
(5)誘引捕殺 酒粕やバナナの皮、キャベツの葉などを置き、ナメクジを誘引して捕殺する。夕方に地表面に置き、翌朝に捕殺する。
<テスト結果>
広い菜園では難しいのでテストはしていない。 (6)唐辛子の粉 ナメクジは唐辛子を嫌う。唐辛子を粉末にして株周りに散布しておく。
<テスト結果>
唐辛子の粉末が出来なかったのでテストはしていない。
(7)防虫剤(ニンニク・唐辛子・木酢液)
キャベツを植え付ける時に防虫剤(ニンニク・唐辛子・木酢液)をスプレイしている。
<テスト結果>
防虫剤の効果は数日間、定期的に防虫剤(ニンニク・唐辛子・木酢液)をスプレイしたテストはしていない。
4.ナメクジ防除の現状
キャベツを例にとると
①餌となる野菜残渣や雑草などを取り除いてから畝をつくる。防虫剤(ニンニク・唐辛子・木酢液)をスプレイする。
②畝にマルチフィルムを掛け、苗植え付け後の植え穴に籾殻を敷く。
③大きく成長したキャベツの株元に出来る枯れ葉は取り除く。
④防虫ネットのトンネル栽培。
の対策を取っているがナメクジと糸ミミズを完全にシャットアウトすることは出来ていない。春播きキャベツの栽培は止めている(2017年8月23日作成)。
コメント
防虫剤・防虫法:ナメクジ
見させていただきました。いろいろ試されていて、とても参考になりました。
今日我が家で栽培しているレタス1個が食べごろになったので収穫しました。
防虫ネットで栽培していたので、害虫の被害はないと思っていたのですが、わずかの隙間から侵入したのか、葉の中に大小6匹ほどのナメクジがいてびっくりしました。
すぐ処刑しましたが、我が家の庭にある菜園にはナメクジが、本当に多いです。
ナメクジ誘引殺虫剤も使っていますが、効果は限定的です。
仕方なく昼夜を問わず見に行き、処刑しています。(これまでに100匹くらい)
最近やっと減って来たような気がします。
ナメクジには銅イオンということで、私も銅板などを使おうとしましたが、銅板そのものから出る銅イオンは微々たるもので、ナメクジを回避する効果も期待できないと思い、市販されている無機銅系「ボルドー」粉末(塩基性硫酸銅58.0% 銅32.0%)を今日散布してみました。
効果はまだわかりませんが、効果が確認できれば、マルチを使う以上避けられない、マルチの下を住みかとするナメクジ対策になると期待しています。
ありがとうございました。