籾殻は、籾米を搗いて玄米にした残りの殻である。籾殻は家庭菜園のグリーン堆肥などに使用している原材料である。
籾殻の基礎的性状を以下にまとめた。
1.籾殻の利点・欠点
籾殻は以下の利点がある。
①珪酸(シリカ:SiO2)を多く含み、分解し難い。
➁軽く運搬・施用時の作業が容易である。
③物理・化学的性状が均質である。
などが挙げられる。
籾殻の欠点としては
①籾殻は撥水性があり微生物分解し難い(微生物分解はゆっくり進む)。
➁大量に施すと土壌中の窒素肥料を消費し窒素分が不足する窒素飢餓を招く。
③病害や害虫を持ち込むこともある。
などが挙げられる。
畑に大量に施用する場合は、生の籾殻を施用するのではなく窒素肥料などを加えて堆肥にしてから施用すれば、ほとんど問題はなくなると言われている。
2.籾殻の成分
籾殻の成分を以下に示す。
<成分名> <含有率(重量%)>
水分 8.0
脂肪 0.2
ヘミセルロース 16.0
リグニン 20.3
セルロース 31.8
灰分 シリカ 16.9
灰分 その他 0.8
その他 6.0
合計 100.0%
さらに籾殻の
全炭素分(C):34.6
窒素(N):0.32
燐酸(P205):0.058
カリ(K20):0.37重量%
と報告されている。
C/N比は108と高い。 籾殻は窒素、リン酸、カリはほとんど含まず、シリカを約17%含有し、C/N(108)と高いのが特徴である。
3.籾殻の用途
籾殻はサトイモやサツマイモを貯蔵する保温材、グリーン堆肥原料、畝の乾燥防止材などに使用している。
(1)保温材
籾殻の熱伝導率は0.07W/mk、住宅用ガラスウール(0.04)よりも劣るがかなり保温性の優れる材料である。
我が菜園では、段ボールやトロ箱に充填し①サツマイモの貯蔵(種イモ、食用)、➁ショウガ(種イモ、食用)の貯蔵の利用している。自宅でサツマイモを5月まで貯蔵している。
(2)グリーン堆肥
籾殻は直接畑に埋めると窒素飢餓を起こすので堆肥にして施している。C/N比が108と高いので、C/N比が低い野菜残渣や生ゴミ堆肥に添加しC/N比を高くし堆肥のハンドリング性を向上させている。
原料としてシリカを約17%含有する籾殻は ①土壌の物理特性(通気性)を向上する。土が柔らかく根張りがよくなる。 ➁ケイ酸分やミネラルが豊富で、野菜の耐病性を高める。 などの効果があると考えている。
(3)籾殻マルチ
畑のマルチとして使用すると乾燥防止や土壌の硬化抑制、病害虫忌避などの効果がある。
主な使用先は
①雑草防止(畝間)
➁肥料の流出防止
③地温調節
④収穫物の汚損防止(土壌の跳返り防止)(パセリ、レタス、ニラ) ⑤病害虫抑制(白菜、キャベツのナメクジ)
➅水分蒸発の抑制(ネギ育苗床、アスパラガス、ショウガ) などが挙げられる。
(4)薫炭
籾殻を焼いて薫炭にするとケイ酸分が早く効く効果があり、土壌の生物性が向上する。籾殻が少ないので製造を止めている。
(5)その他
光を遮蔽する効果があるので軟化ウドの行燈栽培に使用している。長ネギの白色化にも使用できる。 故郷の沼田市の実家では秋に大量の籾殻が発生する。自動車で引き取りに行くこともできるが、居眠り運転の恐れもあるので止めている。
毎年落葉堆肥も300~400kg製造し、320m2の菜園に施している。C/N比の高い原材料は十分と考えている(2017年10月25日改正)。