肥料の基礎:草木灰

作付面積320mの家庭菜園で野菜を栽培すると野菜の残渣(茎、根)や廃竹材、境界線の樹木の枝木などが発生する。

これらを菜園の空き地で乾燥させ、焼却処理を行い副生する草木灰を燐酸、カリ肥料、防虫剤として利用している。

草木灰の特徴や製造法、使用法について記す。

1.草木灰の特徴

草木灰は草や樹木を燃やしてできる灰である。

(1)特徴

燃やす原料によって成分量に違いがでるが、主体はカリで、他にリン酸と石灰を含む。主に元肥に用いられるが、速効性なので追肥にも利用可能である。

果菜類の味を良くする速効性のカリ肥料で、土壌の酸度調整にも用いられる。また、原料の植物に由来する微量要素を含んでいるため、果菜類の味を良くするとも言われている。

(2)肥料成分

代表的草木灰の肥料成分は窒素0%、燐酸3~4%、カリ7~8%と報告されている。原料の影響が大きいので以下に代表的原料と成分を示す。

・草:燐酸3.4%、カリ5.6%、カルシウム1.8%

・樹木:燐酸3.9%、カリ7.4%、カルシウム16.6%

・竹:カリ8.65%、カルシウム1.38%、シリカ10.5%

・家畜糞:燐酸16.0%、カリ17.6%、カルシウム2.38% 樹木はカルシウム、竹は燐酸がなくシリカ、家畜糞は燐酸を多く含む特徴がある。。

我が菜園で製造する草木灰の原料は野菜残渣、樹木、真竹で家畜糞は使用していない。従って肥料成分は窒素0%、燐酸3%、カリ6%、カルシウム1%、シリカ2%位と考えている。

2.草木灰の製造法

野菜残渣や樹木の枝を空き地で乾燥させ、菜園の空き地に炉を作り製造している。時期は9月~5月に行なう。

(1)原料

土壌に鋤き込んでも腐り難い、あるいはウイルスなどを蔓延する恐れのある残渣を空き地で乾燥させ焼却する。原料としている野菜残渣名を以下に示す。

①野菜残渣

キャベツ、ブロッコリー、ナス、ピーマン、キュウリ、モロヘイヤー、カボチャ、ズッキーニ、ゴーヤ、オクラ、枝豆、落花生、胡麻、そら豆、トウモロコシ、ヤマイモ、シソなどの茎や根。

②ウイルス感染防止

トマト、ナスの残渣(茎や根)

③廃材処分

竹材(棒、杭)、篠竹、境界性上の樹木の枝(桐、榎、宇津木)、花壇の花木(菊)

(2)焼却処理

燃焼させると炭酸ガスなどが発生するが、植物はカーボンニュウトラルなので温暖化ガスの増加には繋がらない。 但し、低温燃焼させるとダイオキシンが発生するため、廃棄物処理法で野焼きは禁止されている。

農業・林業または漁業を営むために止むを得ない廃棄物の焼却は特例として認められている。 火災や煙害の予防から風の少ない日や早朝に行う。空き地に直径約1m、深さ30cmの穴を掘り炉とする。

着火材として杉の枯葉を用意する。 杉の枯葉を下に入れ、竹棒や樹木の枝を乗せ着火させる。火勢が勢いを増したら、乾燥した残渣を少しずつのせ焼く。

燃焼後は土で覆い、雨が掛からないようにトタン板をのせておく。 2日位経過したら、上の土を払い草木灰を篩にかける。篩上の炭は畑に散布し、篩下の草木灰は肥料袋などに入れ保管する。

3.利用法

果菜類の味を良くするため油粕や発酵鶏糞などと併用して元肥や追肥として施している。幼苗の防虫剤にも利用している

(1)元肥

草木灰は燐酸やカリを含むため、果菜類の味を良くするため油粕や発酵鶏糞などと併用して施している。

ナス、キュウリ、オクラ、ピーマン、トマト、ゴーヤ、コンニャク、シシトウ、ショウガ、ズッキーニ、マクワウリ、カボチャ、スイカ、インゲン、スティックダイコン、トウモロコシ、落花生、小麦などに使用している。

(2)追肥

イチゴ、スナップエンドウ、そら豆、インゲン、落花生、ニラに使用している。

(3)防虫剤など

アブラムシ(そら豆、ゴボウ)やウリバエ(キュウリ、ナス、カボチャ、マクワウリ)の防虫として幼苗に葉面に散布している。振りかけている。や疫病予防として葉面に散布している。

当初ジャガイモの切り口に草木灰付けていたが、そうか病対策として現在は止めている。

4.終わりに

家庭菜園をしている人が地権者不明の空き地や山林に野菜残渣や樹木の枝葉、壊れた樹脂容器などを廃棄されているのを見ると心が痛む。

野菜残渣や樹木の枝葉は肥料となる貴重な資源である。少々手間が掛かるが、立派な草木灰と言う肥料になる。

野焼きは低温燃焼させるとダイオキシンが発生するとして廃棄物処理法で禁止されている。日本人は数千年も焼畑農業や燃料として樹木などを燃焼してきた。

ダイオキシンが発生して人が病気になったと言う事例は聞いていない。今後も草木灰の製造は続けることにしている(2017年10月21日改正)。

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