野菜などの根に「瘤(こぶ)」が出来る原因には2通りある。一つはネコブセンチュウ(微生物)による「根こぶ」、もう一つは休眠胞子による「根こぶ病」である。
1.ネコブセンチュウとは
センチュウは100万種以上いると言われ、野菜などの根に寄生して悪さをするネコブセンチュウやネグサレセンチュウは全種類の1.5%にも満たないとされる。
多くのセンチュウはカビや細菌、微生物などの死体を食べて生きている。センチュウはミミズに劣らない土づくりをしている有用な微生物である。
化学肥料ばかり施肥していると土壌中の腐植土が減り、センチュウの餌が減少する。また土壌消毒や連作は腐植土の減少に繋がり、センチュウがいなくなってしまう。
その結果、野菜の根などに寄生して障害を起こすセンチュウだけが生き残る。ネコブセンチュウやネグサレセンチュウが大発生する原因となる。
2.ネコブセンチュウ障害
ネコブセンチュウが根に侵入すると、根の細胞が巨大化しこぶが生成する。根こぶの有無は、収穫後の根を抜いてみるとはっきりする。
通常の根と異なり、根にたくさんのこぶが付いている。こぶの生成は、根の養分の吸収を低下させてしまう。
その結果、野菜の生長が抑制され日中に葉が萎れる、あるいはベト病などの病気に罹りやすくなる。キュウリやトマト、オクラなどの収穫量は極端に減少する。
3.防止対策
ネコブセンチュウ障害を防止するためには、
①土づくり 化学肥料の多肥を改め、堆肥を投入しセンチュウ類の餌を豊富にする。
②輪作・混植 連作するとネコブセンチュウが増えるので輪作とする。
③対抗植物 マリーゴールド、落花生、イチゴ、里芋、アスパラガスを輪作・混植する。
④太陽熱処理 ネコブセンチュウは熱に弱い、40℃以上だと数時間で死滅する。
⑤作柄変更 気温が低い時期に苗を植え付けし、ネコブセンチュウの被害を少なくする。 などが挙げられる。
4.防止対策の実際
当菜園では堆肥中心の有機栽培や輪作の遵守、マリーゴールドや落花生などの対抗植物の輪作・混植を実践している。
①堆肥施肥
堆肥はグリーン堆肥(EM生ゴミ堆肥に野菜残渣を加え堆肥化)と落葉堆肥の2種類を使用している。グリーン堆肥は窒素分が多くC/N比(炭素窒素比)が10と低い。
一方、落葉堆肥のC/N比は29と炭素分が多い。土壌の物理性(通気性、排水性)や生物性(微生物の居住性)を考えると高C/N比の堆肥も必要となる。
畑も人間の腸内と同じく無数の微生物や細菌が活躍している。土壌環境をよくするには繊維質の多い高C/N比の堆肥を施すことが必要となる。
堆肥は有機肥料である。畑の微生物の餌となり、最終的に無機化合物に分解され根から吸収される。たくさんの微生物を飼っているのが有機農法の畑と言える。
②輪作遵守
当菜園の作付面積は320平方メートル、連作障害のでる野菜は輪作としている。作付面積の少ない家庭菜園では、輪作を遵守するのは結構難しい。
高価となるが、連作障害のでない野菜苗を購入するのが無難である。キュウリやトマト、ナス、スイカの苗は接木苗をお勧めしたい。
③対抗植物の輪作・混植
接木でないトマトやナスの苗は、周りに余った落花生の苗を混植している。また、菜園の周囲にはマリーゴールドを植えている。
マリーゴールドは草花だけでなく、有害センチュウを抑制し緑肥にもなる。このため、環境保全型作物としても注目されている。 根に含まれる「アルファターチニル」がネグサレセンチュウなどの繁殖を抑制する。
中でも「アフリカントール」が最も効果があると言われる。 3年前から秋に大きく生長したマリーゴールドを鎌で切り刻み鋤き込んでいる。
④ネコブ病のチェック
野菜を撤収する際は必ず「引き抜いた根の長さや張り具合、ネコブ病の有無」を確認している。どの畑で発症したかを記録しておく。
4年前には発生した根こぶはほとんど発生していない(2017年8月12日改正)。