肥料の基礎:米糠

米糠は玄米を精米するときに出る糠を言う。米屋や無人精米機所などで手に入る「生の米糠」と肥料として販売されている「脱脂米糠」がある。

「脱脂米糠」は、米糠から油を搾ったあとの糠で、粉末や顆粒状のものが市販されている。また、「生の米糠」を発酵させてペレット状にしたものなども販売されている(窒素2.5%、燐酸5%、カリ2%)。

ここでは我が菜園で大量に使用している「生の米糠」の特徴、製造法、利用法について記す。

1.米糠の特徴

玄米を精米した時にでる糠を米糠と言う。イネの種子は「表皮部」、「胚芽部」、「胚乳部」とそれらを保護する籾殻からできている。

このうち「表皮部」と「胚芽」を合わせたものが米糠である。胚芽は芽となって成長する部分で、芽を生長させるために澱粉というエネルギーを貯えているのが「胚乳部」(白米)である。

<米糠の特徴>

米糠の特徴としては

①肥料の三要素(窒素、リン酸、カリ)のバランスがよく、果菜類や葉菜類、根菜類のどれにでも使える万能な有機肥料である。代表的組成は窒素2.5%、リン酸6.5%、カリ2.2%、C/N比18。

➁リン酸含有量が多く、窒素やカリ、マグネシウ、カルシウム、鉄分、ビタミンを含んでいるため昔からスイカなどの味のせ肥料として重宝されてきた。

③糖分やタンパク質を豊富に含み、土壌微生物の活動を活性化させる効果に大変優れている。

などが挙げられる。

<米糠の欠点>

一方生の米糠の欠点として

①脂肪分を多く含んでいるため土壌中での分解が非常に遅い。

➁水をはじくため土の中で塊りになり易く、害虫や雑菌の巣になり易い。コガネムシやヨトウムシの幼虫などの害虫が集まってくる。

③米糠は発酵するときにガス(アンモニア、炭酸ガス)や有機酸(カルボン酸)を発生させる。土壌を酸性にする。

などが挙げられる。

2.米糠の製造法

玄米の精米方法は「切削式」と言って外皮をすばやく削り取る方法が用いられている。業務用には圧力循環式精米機と圧力式精米機が米屋やコイン精米機で使用されている。

圧力式精米機は精米部分のメカニズムは圧力循環式と同じであるが、玄米は円筒状のカゴの中を端から端まで一度移動するだけで精米が終わる。何度も循環しないのが特徴である。

圧力式とは米粒同士を擦り合わせ、相互の摩擦により糠を剥がす。剥がした糠を分離・監修され、約10%が米糠となる。

圧力式のメリットは精米時間の短さにある。大量に精米しなければならない業務用機に多い。また、圧力式は圧力循環式と同様に砕米が出にくいのも大きなメリット。

砕米の比率が増えるとご飯の味に影響するので、通常は砕米を分離してお米を販売している。砕米率が高い精米機は歩留まりが悪くなり、それだけ損失になる事から業務用機では攪拌式や対流式は少ない。

ただ、圧力式には大きな欠点がある。それは短時間で精米するためにどうしてもお米が熱を持つ。圧力式は効率を優先した方式ですから結果的にお米自体にしわ寄せが来る。

精米が熱を持つ事で劣化が起こり、風味が落ちて行く。また家庭用にはかくはん式、対流式、圧力循環式などがある、

 

 

3.米糠の利用法

我が菜園では米糠を大量に使用している。

(1)落葉・グリーン堆肥・EM生ごみ堆肥の発酵剤

最も多いのは落葉堆肥やグリーン堆肥(EM生ごみ堆肥で籾殻や野菜残渣を堆肥化したもの)、EM生ごみ堆肥、サツマイモなどの伏せ込み温床の「発酵促進剤」である。

 

(2)ボカし肥料、油粕液体肥料

生の米糠は腐植に時間が掛かるなどの問題があるので、生の米糠は発酵させて「ボカシ肥料」として使用している。

油粕や米糠、魚粉などに水とEM菌を加え発酵した「EMボカシ肥量」や油粕に米糠、水を加えペットボトル中で発酵する「油粕液体肥料」に用いている。

(3)元肥として用いている野菜

「スイカ、カボチャ、枝豆」などと少ない。他の有機肥料との併用で施肥し、分解がゆっくり進むので作付の2~3週間前に施し、土によく鋤き込んでいる(2017年10月16日作成)。

スポンサーリンク







シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする

コメント

  1. 杉山敏生 より:

    ペットボトルで発酵鶏糞を使って液肥を作ろうと思っていますが、今の時期どれくらいの期間で使用可能になるのか教えて下さい。2~3日で良いのでしょうか。
    別件ですが大根づくりに発酵鶏糞は不向きでしょうか。もし可能なら使用時の注意点等をお聞かせ下さい。
    家庭菜園の初心者なのでよろしくお願いします。