8月中旬を過ぎると、露地栽培のトマトやピーマンなどの茎や実を食害するタバコガの生態と防除対策について記す。
1.生態
タバコガの成虫は体長15mm程度、羽根を開くと約35mmとなる褐色の蛾である。成虫の寿命は10日前後で、羽化後3~5日目の夜間に最も盛んに産卵する。
成虫は「夜行性」で、1匹の雌の産卵数は200~300個。トマトやピーマンの葉の裏面や雷、果実などに卵を1個ずつ産つける。
産卵から羽化までの期間は25℃で36日程度と言われる。高温多照の夏季に多く発生する。8月中旬頃に産つけられた卵が幼虫になる9月に被害が最も多くなる。
2.防除対策
無農薬栽培の防除方法として
①タバコガ成虫(体長約15mm)の産卵防止
・雨除けトマトハウスの開口部に防虫ネット(4mm以下)を張り侵入を防ぐ。
・露地栽培の場合は防虫ネット(4mm以下)で囲む。
・7月下旬となったら防虫ネットを張る。
➁幼虫(体長30~40mm)の補殺
・食害を見つけ次第幼虫を補殺する。
・食害で穴のあいたトマトは摘果して廃棄する。
・幼虫の被害を拡大するのを防ぐだけの対策である。
③雑草の除草
・菜園内の雑草は増殖源になるので除草に努める。
などが挙げられる。
3.防除対策の実際
(1)雨除け栽培トマト(大玉トマト)
無農薬栽培トマトの対策としては、タバコガをハウス内に侵入させないことしかない。被害が出てから、幼虫を補殺するのでは遅すぎる。
侵入を防ぐ対策として
①天井部のビニール継ぎ目個所の隙間をなくす(隙間をチェックする)。
➁腰部、出入口の防虫ネットとビニールの隙間をなくす(パッカーできちんと止める)。
③地面と防虫ネットとビニールの隙間をなくす(止め杭でネットを止める、土を盛る)。 を実施した。
<被害状況>
①防虫ネットをきちんと張れば被害はほとんど無い。
➁防虫ネットを張るとハウス内の風通しが悪くなり、ハダニなどが繁殖する。このため蜜植栽培を避け、1条植え(5株)としている。
(2)露地栽培トマト(大玉トマト、ミニトマト)
出来るだけ窒素分を少なくして栽培しているが、8月以降は「タバコガの幼虫」と「カメムシ」の被害が多くなる。特に大玉挿し芽トマトの被害が大きい。
対策として
①大玉トマトの袋掛け
ナスに用いている薄手のポリ袋、不織布袋を被せるテストを4ヶ月間行なった。いずれもトマトが腐敗し、完熟トマトは得られなかった。今後は通風の優れる「網袋」などでテストをする予定。
➁防虫ネットハウス栽培
トウモロコシのアワノメイガ対策で実績のある防虫ネットハウスも簡単に設置できるので、防虫ネットハウスの検討もしたい。
タバコガの幼虫はアワノメイガの幼虫と同様厄介な害虫である。食害フリーを目指してがんばりたい(2017年8月24日改正)。