春になると休耕畑や空き地にモグラが掘り出した盛り土(モグラ塚)がたくさん出来てくる。モグラが活動を始めた証拠である。
数年前までニンニク、ゴボー、ゴマ、落花生、カボチャがモグラの被害に遭った。モグラの主食は土中のミミズやカエル、昆虫(トンボやセミ)など。
従ってミミズや昆虫の幼虫などが豊富な良く肥えた土地に棲む。良く肥えた土地は作物が育つ場所、作物がモグラに荒らされる被害が発生する。
水田などの水漏れ、苗などの成育不良などに繋がる。このことからモグラは害獣と呼ばれている。しかし、モグラはネキリ虫や、また病原体を運び込む地中動物などを食餌する益獣の面もある。
モグラの生態と現在まで行ってきた対策について記す。
1.習性
モグラは掘り巡らしたトンネルへ雨水が侵入するのを嫌う。このため雨水が溜まりにくい小高い丘や森などに巣をつくる。
巣から餌場までトンネルを掘り、餌場には沢山のトンネルを掘り巡らす。深さ20cm程度、直径4~6cmのトンネルを掘り、全長は約100mになると言われている。
また、トンネル内より地上に向けて直径2~3cmの穴をあけたワナを数百ヶ所作り、獲物が入ってくるのを待っている。
農道や畑の小道、畦道などの近傍に作ったワナに多くの獲物がかかる。理由は人の足音に驚いたカエルやトカゲ、ミミズ、コオロギなどがワナに飛び込むからである。
3~4時間おきにトンネル内を巡回し獲物を捕える。モグラの主食は「ミミズやカエル、昆虫」などで絶対に植物は食べない。植物を食べるのはネズミである。
モグラの生殖時期は毎年4月~6月、一度に4~6匹の子供を産む。大食漢で1日に体重と同じ重さの食糧を食べなければ生きて行けない。 モグラは目が見えず、嗅覚で獲物を察知する。
1つの縄張りに1匹しか存在せず、縄張りの広さは300~500平方メートルとなると言われている。
2.嫌いなもの
モグラの嫌いなものは
➀水溜りが出来やすい土地
②強い異臭
③不自然な振動 が嫌いとされている。
この性質を利用して各種忌避剤やモグラ除け装置(ペットボトル風車、超音波発生装置など)が市販されている。
3.忌避植物・忌避剤
有機・無農薬栽培を進める上で、土中の生物(ミミズなど)や微生物(放射菌、糸状菌など)はなくてはならない存在である。
これらの土を肥えさせてくれる、生物や微生物に影響を与えないモグラ忌避剤やモグラ除け装置を使用しなければならない。
手作りのペットボトル風車も使用されているが、振動による音などはすぐに慣れてしまうらしくモグラ除け効果は少ない。
菜園からモグラを完全にシャットアウトするのではなく、モグラの被害が少なくなるような忌避植物や忌避剤を検討する必要がある。
忌避植物として彼岸花がある。しかし、彼岸花を畑の周りに植え付けるのは難しい。ネギ玉が出来ない分結ネギを周りに植えて効果を確認したがほとんど効果が無かった。
菜園を耕していてモグラのトンネルを見つけた場合は、モグラのトンネルに自家製の忌避剤を新聞紙に染み込ませ丸めて穴に差し込む。
忌避剤は唐辛子・ニンニク・木酢液、唐辛子のカプサイシンやニンニクのアリシン、木酢液の酢酸やフェノール臭の効果で寄り付かなくなった。
4.現在のモグラ侵入状況
菜園にモグラがたくさん侵入した数年前に比べ現在は激減している。考えられる理由は
①数年前から「EM生ごみ堆肥と野菜残渣」を直接畑に埋め込むのを止めた。
➁「EM生ごみ堆肥と野菜残渣」は空き地でグリーン堆肥化し、完熟堆肥を落葉堆肥と一緒に畑に施している。
モグラの侵入が激減した原因は①、➁と考えている。
今年から忌避植物の彼岸花を花壇に植え付け花を楽しんでいる。ニンニク、ゴボー、ゴマ、落花生、カボチャのモグラ対策もやめている(2017年11月2日改正)。